笹岡啓子写真展「水域 waters」 2008年5月16日(金)-6月12日(木) 12:00-20:00 会期中無休 photographers’gallery 東京都新宿区新宿2丁目16-11-401 http://www.pg-web.net/ 笹岡は2001年からこれまで<習作>、<限界>、<観光>とタイトルを変えながら、日本各地の海岸や雪山などの風景とそこに佇む人々を撮影し、発表してきました。そこから展開された近作<後の世界>、では、沖縄県北部の海岸でとらえた釣り人のいる風景を2~3点で構成することにより、写真における時間の経過や場所の位相に対する関心に焦点を絞っています。 そこから展開された本展の撮影地は青森県上北郡の小川原湖。広大な面積を持ち、四季を通じて美しい風景を見せる湖は、観光地や釣りスポットとしても有名です。湖の浅瀬で遊ぶ子どもたちをとらえた写真は一見ファンタジックに見えます。しかし、かすかに写る巨大な米軍の通信施設などの存在は、隣接する米軍三沢基地や自衛隊練習場、六ヶ所村の核燃料処理施設など、この土地の複雑で生々しい現実をつきつけ、安易に物語化し感情移入することを拒むかのようです。拒まれたわたしたちは、その写真の直前で立ち尽くすよりほかなく、イメージへの信頼をゆるがされ、普段見知っているつもりで見過ごし、とり逃がしている多くの存在にきづかされるでしょう。