ペルシアとは、現在のイランの古代における呼び名です。ペルシアは西アジアのほぼ中央に位置し、その風土は高原と砂漠からなる乾燥地帯が広がっています。石油やイスラム教がイメージされる土地柄ですが、メソポタミア文明とインダス文明との間で古くから栄えた地域であり、文明の十字路としての役割をも果たしていました。
特に3世紀のササン朝時代の文化は、シルクロードによる東西の文化交流を通して、中国の隋・唐を中心とした東アジア文化圏の形成に大きな影響を与えました。その具体的な姿は、我が国の正倉院宝物として今に伝えられています。
今回の展示では、土器・陶器・青銅器・偶像・武器・装身具などの考古資料をもとに工芸技術の高さや華やかさを紹介し、古代ペルシアの文化の伝統と独自性、往時の東西の文化交流について概観していきます。