近世初期以来、日本の蒔絵は、「鎖国」の時代にも、海を越えてヨーロッパの国々に輸出されていました。遠く東洋からもたらされた贅沢な蒔絵は、冨と権力の象徴でした。フランス王妃マリー・アントワネットら王侯貴族は競って蒔絵を求め、宮殿を飾りました。日本で生まれ、西洋人を魅了した繊細出華麗な黄金の美-蒔絵が英語で「japan」と呼ばれた所以です。
本展では、フランスのヴェルサイユ宮殿美術館などが所蔵するアントワネットのコレクションをはじめ、イギリスのヴィクトリア&アルバート美術館、デンマーク国立博物館、スウェーデン王室などに残された貴重なコレクションに、国内で所蔵される国宝、重要文化財を含む名品の数々を加えた約280件を展示。日本が世界に誇る芸術、蒔絵の知られざる歴史を紹介する始めての大規模な展覧会となります。