本年秋に開館20周年を迎える当館では、これにさきがけた朝鮮民画の特別展を開催します。朝鮮民画は素朴かつ破天荒な筆法で独自の趣を放っています。表題のクリムとは朝鮮語で「絵」や「図」を意味する言葉です。正統な筆法などを修練した画員たちの絵画のみに目を向けるのではなく、絵画というものを広く捉えたいことから、あえてこの言葉を選びました。
今回は文字図や鵲虎図、冊架図をはじめとする愉快な朝鮮民画を約30件出品します。なかでも新収の「漁村落照」は、かつて古美術研究家の料治熊太が慶州で求めた絵で、もとは八枚からなる瀟湘八景図のうちの一枚であり、日本民藝館所蔵の「洞庭秋月」「平沙落雁」と姉妹作品です。今回はこれらの三枚が集う、またとない機会です。