イタリアノ風景に魅せられて
マウリッツ・コルネリス・エッシャー(Maurits Cornelis Escher1898-1972)は、オランダ北部のレーワールデンに生まれました。建築家を志して21歳で、ハールレムの建築装飾美術学校に入学しましたが、恩師のすすめで版画を学び高度な技法を身につけていきました。その後、彼は長年イタリアに住み、各地を旅しt描いた風景や建築のスケッチをもとに多くの版画作品を制作しました。そこには白と黒による細やかな描写、広がりのある空間の表現などが見られ、エッシャーの数年の作品を予感させます。
謎に満ちたイメージの宇宙
1935年にイタリアを離れた後、エッシャーはグラナダ(スペイン)のアルハンブラ宮殿の幾何学的なモザイク模様に大きなインスピレーションを得て、人間や動物などのモチーフを連像kや循環、変客させていく独自の表現に没頭していきました。永遠に解けない謎のようなそのイメージの宇宙には、自然という三次元の世界と絵画という二次元の世界をめぐるエッシャーの深い思索とゆたかな詩心が息づいています。
初期から晩年まで、ハウステンボス美術館の140点
エッシャーは今日ではオランダを代表する作家のひとりとして国際的に高く評価され、また、数学や心理学など多様なジャンルからも注目されています。本展では、世界的にも有数のエッシャー・コレクションで知られる長崎のハウステンボス美術館が所蔵する版画作品をはじめ立体作品やタペストリー、版木など140点を一堂に展覧し、初期から晩年までの制作を紹介します。エッシャーの迷宮的な世界を心行くまでお楽しみください。