この度、2008年春を迎え、特別展『東西の水辺の情景』-清方からデュフィ-までを開催致します。水は古今東西を問わず、生命の源であり必要欠くべからざるものでした。
海に囲まれた日本では、東京が江戸と呼ばれた頃から水との関わりは深く「水の都」として知られ、大阪、京都も豊かな水に育まれてきました。
西洋では「水の都」ヴェニスを始め、パリはセーヌ川、ロンドンのテムズ川等大都市は豊かな水に恵まれ、その中で繁栄を謳歌しました。
本展は、このように人々の生活と共にあり、愛された水辺の情景を描いた作品を再確認し、東西の芸術における「水辺の情景」の対比もご覧いただきます。
日本画は、流れ落ちる滝音までも感じられる栖鳳の「瀑布」、穏やかな春の川辺を描いた玉堂の「川辺に松桜」、青頓独自の華やかな「紅白梅」等の日本画独特の情緒をお楽しみいただきます。
洋画は、神秘的な光を湛えたルドン「サンジョルジュの風車小屋」、「水の画家」と呼ばれたマルケの「ヴェニスの朝」等を展示いたします。
又、ニースの明るい浜辺を描いたデュフィの「ニースのホテル」、「トゥルーヴィルの波止場」等、デュフィ独特の光と色彩の水の描き方もご堪能ください。
工芸は、金蒔絵碩箱「春山水」、エミール・ガレの涼やかな草花模様に流水を配した「エナメルガラス花器」もご覧いただきます。
山を背に海を眼下に臨む当館で、様々な水辺の情景の名画を通して東西の文化の違いを肌で感じていただければ幸いです。