2006年に「XXXX STREET SNAPSHOTS」を毎月の連続写真展として開催してきた作者。そこでは風景が中心だったが、今回は一転して人間が中心に構成される。いま人間を撮るということ。それは、もっとも平凡なスナップショットという手法を使ってきた作者にとって避けがたいことであり、人間を撮るということを無視してスナップショットというものを考えることはあり得ないということなのだ。加えて、ここで提出されるものもやはり芸術写真、ポートレイトと呼ぶにはあまりに出来が悪い。ここでもそれらに賭けられているものは「写真の無意味さ」の可能性なのである。そしてもうひとつ、人間が人間を見るということ、レンズを向けるという欲求が制限、自主規制されつつある状況へのささやかな抵抗の始まりでもある。