屏風は中国から伝わり,古くは奈良時代のものが正倉院に遺されています。当時は宮廷の調度として用いられたり,儀式の折りに特別な役割を果たしたりするなどしました。平安時代には屏風の一扇一扇に絵を描いていましたが,中世に紙の蝶番(ちょうつがい)が工夫され,屏風全体に連続して絵を描けるようになりました。これが日本独特の屏風の形式となりました。その後,花鳥画や山水画,風俗画などが時代と共に多彩に描かれ,重要な装飾家具の一つとして発展しました。近代以降は,新たに生まれた展覧会という場において,ダイナミックで装飾性豊かな作品など,大画面から得られる効果的な表現を追求した発表形態の一つとしても描かれるようになります。
本展では,下村観山,菱田春草,木村武山をはじめ,森田曠平(こうへい),西村昭二郎など,近・現代の画家が描いた屏風絵19点を展示し,その魅力を紹介します。
[出品数] 日本画(屏風)19点
[主な作品]
・下村観山「老松」 大正5年頃 絹本・彩色・屏風六曲一双
・菱田春草「猫に烏」明治43年絹本・彩色・屏風二曲一双
・木村武山「イソップ物語」大正元~2年絹本・彩色・屏風二曲一双
・永田春水「萬年孔雀図」昭和12年頃絹本・彩色・屏風二曲一双
・小野竹(ちっ)喬(きょう)「武(ぶ)陵(りょう)桃源(とうげん)」大正7年頃絹本・彩色・屏風六曲一双
※生没年順