ダンスホールや劇場、娼館などモンマルトルの歓楽の世界に生きる人々の姿を描いたトゥールーズ=ロートレック(1864-1901)。類まれなデッサン力を特徴とする彼の作品は、人物に対する愛情と、社会に向けられた鋭くクールな視線によって支えられています。
37年に満たない短い生涯の中で、ロートレックの主要な仕事は最後の10数年間に集中しています。それはベル・エポック「美しき時代」と呼ばれた、19世紀末パリの熱狂と退廃のただなかにありました。本展では、ロートレックの多彩な活動を、この美しき時代に花開いた大衆文化の隆盛という文脈において紹介します。オルセー美術館やサンパウロ美術館など国内外の美術館から、日本初公開を含む油彩画の名品が出品されます。さらに版画とポスターの代表作や素描、雑誌挿絵に、同時代の写真、映像などの関連資料も加えた総点数約300点を展示します。