すべてのものがめまぐるしく変化していく今日の世界の中で、安定した独自な作風により、絶妙な色彩感と新鮮なフォルムで静謐な詩情を湛えた静物画や風景画を生み出してきた小杉小二郎。
氏は、パリで、本県近代美術館にもその作品がある藤田嗣治・岡鹿之助・長谷川潔などの知遇を得、岩田栄吉にも見られるようなパリ在住日本人画家の伝統も自ずと継承している将来性豊かな画家の一人である。『巴里ゆらゆら』などの著作もある。
日本国内では、団体展を足場とせずに独自な活躍をしている芸術家で、その評価がますます高まりつつある。
近年は、従来のプリミティーブでポエジーのある世界に加え、大和絵的な意匠やモティーフから、壁画・イコンなどにおけるキリスト教的主題に到るまで、キュビスム風のパピエ・コレやコラージュからモビールに到るまで、いっそう幅広い造形語彙に着目し、これを主として小品の平面やオブジェの世界において展開させている。
本展は、こうした小杉小二郎の作品を、小品のオブジェなども交え、油彩作品を中心に約130点で展示構成し、こころ休まる詩的世界と独自な色彩感覚に溢れた具象絵画を紹介するものである。