春の訪れを告げる雛祭り。娘たちの健やかな成長を人形に願った「上巳の節句」が、江戸時代には、雛人形と雛道具を豪華に飾りつける形に完成しました。
艶やかな装束に身を包んだ内裏雛、宮中の雅を精巧に写した蒔絵の雛道具、お雛様と一緒に飾られる可愛らしいお人形・・・。こうした雛飾りは、徳川将軍家の大奥をも華やかに彩りました。徳川家各代の夫人たちは、いずれも公家や大大名から輿入れており、その雛飾り一式も贅を凝らしたものでした。そしてこれらの雛は毎年江戸城の幾箇所にも飾られ、大奥の歓喜の目を集めたといいます。
この度、徳川記念財団のご協力をいただき、将軍家に伝わる雛飾りとゆかりの人形を展示することとなりました。十三代家定夫人天璋院篤姫、十四代家茂夫人静寛院宮(皇女和宮)をはじめ、十六代家達夫人泰子、十七代家正夫人正子など、各代夫人たちの愛でた人形を一堂に展示、過ぎし日の将軍家の華やかな季節を再現します。