「大愚狂人」は、栃木県内の郷土史にかかわる多様な著作を残したことで知られ、その多くは栃木県立図書館に所蔵されています。しかし、この人物が実際に誰であるのかは長い間、知られる機会がありませんでした。
栃木県立博物館では、平成17年度に旧足利藩士であった関口光遠とその親族に関わる歴史資料の一括寄贈を受けましたが、この中には「大愚狂人」と署名のある調査記録が含まれており、「大愚狂人」が実は光遠次男の関口琢磨(1870~1936)であることがわかりました。
県内各地の寺社に残る金石文や古文書を丹念に筆写したノート、 色彩豊かな史跡や遺物のスケッチなど、その詳細な調査記録からは、戦前の栃木県における地域史研究の一つの到達点を見ることができます。
今回のテーマ展では、関口琢磨の履歴書や辞令などから彼の生い立ちや経歴をたどり、さらに数々の調査記録や著作からその研究活動のあり方を紹介します。