細川家が肥後熊本に入国し明治維新を経ておよそ400年。その間に熊本は、政治、文化、芸術と多方面にわたりすぐれた人材を輩出してきました。一方、熊本にその足跡を残した著名人も少なくありません。たとえば三代細川忠利に招かれた剣豪・宮本武蔵は晩年を熊本で過ごし、自らの武道の集大成である五輪書を遺しました。藩校・時習館からは大日本帝国憲法の起草・制定に参画した井上毅や、教育勅語の起草に携わった元田長孚など近代日本の基礎を築きあげた俊英たちが巣立ちました。また第五高等学校(現、熊本大学)の教師として熊本で4年を過ごした夏目漱石はその体験をもとに『草枕』などの作品を生み、森鴎外は熊本藩に起こった殉死事件に取材して歴史小説『阿部一族』を発表しました。
このほか十六代細川護立が育てた蒔絵師・高野松山や日本画家の堅山南風に至るまで、熊本とゆかりの深い熊本出身の芸術家や学者たちの作品や書簡などおよそ50点を展示し、文化育成に果たした細川家の役割を振り返ります。