2008年は、現代美術作家、宮島達男が1983年に東京のギャラリーで個展を開催してから、ちょうど25年目にあたります。ベニス・ビエンナーレを筆頭に国内外で開催される展覧会で高く評価され、国際的な活躍を重ねてきた宮島達男は、この10年来は「アート作品は、なにかと出会い、何かに気づき、何かに感動するための装置に過ぎず、アート的体験や感動は、人間ひとりひとりの想像力の中にある」とする美術概念「Art in You」を提唱し、活動の根幹としています。
本展覧会では、「Art in You」という考え方を紹介すると共に、アートの持つ可能性を提示するものです。展覧会会場には、2007年に日本国内4個所-北海道天売島、奈良の岩船、広島平和記念公園、沖縄平和祈念公園―で開催したワークショップキャラバンを通じて制作した《Counter Skin》、参加者が自らの死の日時を打ち込むことでカウントダウンを始める《Death Clock》、さらに高さ6メートル直径3メートルのLEDの巨大立体作品《HOTO》の新作を中心に会場は構成され、「Art in You」のメッセージが展開されます。
首都圏ではおよそ8年ぶりになる宮島達男の大型個展である本展では、来場者が作品を通じて「生、他者、自己」をリアルに感じ、歴史や環境など、様々な局面における平和についての想像力を喚起する空間が生まれます。