岩田信市は、1935年に名古屋の大須に生まれ、1952年に旭丘高等学校美術課程(同期は赤瀬川原平、荒川修作らが在籍)に入学、一時的に名古屋の日本画家・石川英鳳の画塾に学んだ後、上京して、1962年には加藤好弘らとともに新しくハプニング集団「ゼロ次元」を結成しました。翌1963年元旦には、名古屋・栄の路上を腹這いで行進する伝説的なパフォーマンスを行い、1964年には全国の先鋭的な前衛美術家を集めた展覧会「日本超芸術見本市」を開催するなど、さまざまなイベントや展覧会などで活躍しました。1970年には愛知県美術館で起こった「ゴミ事件」を発端とした芸術裁判の支援活動に参加して、1973年には全国のヒッピー代表として名古屋市長選挙にも立候補しました。その後、1979年に原智彦らとともにロック歌舞伎「スーパー一座」を結成して、1980年代にはヨーロッパ各国での海外公演を成功させ、1988年からは大須演芸場を拠点に、毎年「大須師走歌舞伎」と「大須オペラ」(1992年から)を定期公演して、人気を集めています。
今回の常設企画展では、このように名古屋を舞台に縦横無尽に活躍する前衛芸術家・岩田信市が、1960年愛から現在までに制作してきた絵画作品に終点を合わせて、ゼロ次元からロック歌舞伎へと展開していった絢爛豪華な「美術の楽園ポップ・アート・パラダイス」を紹介します。