第6回目となる本展は「現代人の生と時間、その表現」をテーマに、写真・映像をメディアとして制作活動を行う30代のアーティスト4人に焦点をあてたグループ展となります。
現代生活において、人はたえず更新される現在の速度に対応して生きていかなければなりません。一方で、次第にゆっくりとしたものの価値を見直そうとする変化も時代の流れのなかで生まれています。どのように生きるか、どのように時を過ごすかという選択肢はかつてより増えはしましたが、かつてのように進歩を信じることができず、個人レベルでは大人も子供もどことなく閉塞感を持ち、未来に希望を持てない空気が漂っています。写真映像の世界での急速なデジタル化やコミュニケーションツールの発達によって、時間体験は今や自由自在に編集可能で、当たり前のように反復し、共有することができるようになりましたが、同時にそのことが「今、ここ」に生きている感覚を希薄にしつつあります。「時間」というものそれ自体は目に見えない観念的なものでありながら、人にとって、それぞれの生きた時間は切実にリアルなものとして感じられるはずです。そんな瞬間を日常生活のなかで捉え、写真や映像で表現する作家たちは、「時」をどのようにイメージし、形にしていくのでしょうか?
本展では、作品にこめられた様々な時間意識、時間表現と、展覧会を見る人、そこに関わる人が過ごしている時間が交差し、「今、ここ」に生きている感覚を共有されることを目指します。