岐阜県多治見市出身の荒川豊蔵(明治27年-昭和60年)は、「志野」と「瀬戸黒」、ふたつの技法で重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定された美濃焼を代表する陶芸家です。
昭和5年、豊蔵は可児市久々利大萱の古窯跡で小さな志野の陶片を発見します。
この発見は、黄瀬戸、志野、瀬戸黒、織部といった桃山時代のやきものが美濃で作られたことを証明する大きな出来事でした。以降、豊蔵は、大萱に窯を築き、古陶磁を研究し、古窯跡と陶片を頼りに美濃焼の再興を目指しました。
本展は、範とした古陶磁の名品や陶片と、荒川志野の変遷をたどる作品、豊蔵が手がけた黄瀬戸、瀬戸黒、染付、色絵に加え、備前や信楽、萩、唐津など他窯での仕事、書画や共作など約200点を展覧し、豊蔵の足跡を回顧します。
合わせて、岡山で交流のあった備前の金重陶陽や陶磁研究家の小山冨士夫ら、ゆかりの作品も紹介します。