蕪村と呉春、逸翁・小林一三は、この二人を特に愛しました。そのため、当館の蕪村・呉春コレクションは世界一といわれています。特に呉春は池田に約8年間住んでいたこともあり、池田在住時代の作品を意欲的に収集しました。
当館は二〇〇八年四月より、新美術館建設に伴う移転のため、しばらくの間休館させていただく予定です。そのため、今回の早春展が、逸翁旧邸である、雅俗山荘(現・逸翁美術館)での最後の展覧会となり、その最後を飾るに相応しい蕪村・呉春の作品を展示いたします。
与謝蕪村は、南宗画法を消化して、独自の様式を創造し、池大雅と並んで、日本南画の大成者と成りました。また、軽妙洒脱な俳画の世界を完成させ、自らも天下一と自負するほどでした。蕪村は俳人でもあり、その句は画人として名を成しただけに、極めて絵画的でした。
呉春(松村月溪)は、蕪村に俳諧と絵画を共に師事し、師風をよく取り入れた南画や俳画を多く描きました。師の死後、池田から京都に住まいを移し、円山応挙の画風も加味して、詩情豊かな画風「四条派」を創り上げました。
このたびの展示では、収蔵品の中より、蕪村と呉春、それぞれの優品を選りすぐって展示いたします。
当美術館「雅俗山荘」においての展示は今回が最後です。お見逃しなくご覧下さいませ。二〇〇九年秋に再びお目にかかります。ご期待下さい。