戦後に始まる前衛陶芸の動きは、長く「用」や「機能」と密接な関係を持ち、そしてとりわけ日本では土肌や釉薬の表情に味わいを見てきたやきものが、あらためてその意味を問いただされるなかで、ひとつの表現の手段となりゆく展開を示すものでした、裏返せば、この動きこそまさに「やきもの」「陶芸」の本質とは何かを検証しようとするものであったといえるのではないでしょうか。
本展では、当館コレクションにより、この前衛陶芸が展開する姿を2つの視点からみつめていきます。
第1部「京都に生まれた前衛」では、日本の前衛陶芸が誕生し、発展していくなかで大きな動きをみせた京都を舞台に、その展開をリードした作家たちの作品を紹介します。
第2部「アメリカとの出会い」では、戦後に日本人作家が活動の場を海外に広げるなかで、いち早い時期にアメリカでの滞在経験を持ち、自由で力強い表現のエネルギーが溢れる空気に触れ、そうした体験を自らの作品表現に昇華させていった作家たちの作品を、アメリカの陶芸作品とあわせて紹介します。
これらの作品を通して、日本の前衛陶芸の展開をきり拓いてきた作家たちが追求した、前衛表現の形を探っていきたいと思います。