毎年秋に奈良国立博物館で開催されている正倉院展、ご覧になったことはありますか。世界的至宝とも称えられる正倉院宝物が公開される機会とあって、美術や歴史の愛好者から作家・研究者まで、いつもたくさんの方々で賑わう、人気の展覧会です。正倉院宝物のほとんどは八世紀の作品で、大陸からの舶載品が含まれており、当時わが国に絶大なる影響を及ぼした唐の文化や、シルクロードで連なる西域の文物の要素が色濃く現れた作例が数多くみられます。正倉院宝物は、異国情緒溢れる当時の文化のありようを如実に物語っているのです。当館には、その正倉院宝物を代表する華やかな作品の模造が、まとまって保管されています。これらを一堂に展示することにより、天平文化の精髄に触れていただければ幸いです。