風吹きてさみし。あゝ木枯らしの頃よ、
黄色の障子の家に炬燵のうへにて日本外史をよみし児よ、
幼年の頃をおもふことによりて、わづかに詩を感ず。
早く昔になればよい。
子供の時にもしか思ひき
今もしかおもふ、別なる意味にて。
(明治43年2月19日 『夢二日記1』より)
竹久夢二は近年、モダンデザインの先駆者として注目を集め、その先見性が多くの人々に認められてきました。しかし本来、竹久夢二という画家の魅力は、その作品に内包される近代性と、夢二自身が愛した伝統文化との絶妙なバランスにあると考えられます。
本展覧会では、夢二の日本の伝統文化への愛着や古典趣味の反映された作品と資料の展観を通じて、「夢二クラシック」とも言うべき彼の古典志向を検証します。