近衛家は、遠祖藤原鎌足以来、藤原道長、頼道など連綿と続いてきた藤原氏の嫡流で、摂政や関白の重職を担う五摂家の筆頭でした。その歴史を物語る重要な文書、記録、宝物は、歴代の当主によって守られてきました。陽明文庫は、こうした文化財を後世にまで保存継承し、学術の振興、文化の普及に寄与するために、昭和13年(1938)に29代当主近衛文麿が設立したものです。その所蔵品は、道長自筆の「御堂関白記」(国宝)や平安朝屈指の古筆の名品「倭漢抄」(国宝)など20万点にも及び、その全貌を俯瞰する展覧会は今まで開催されたことはありませんでした。
本展覧会は、文庫創立70周年を記念して企画されました。現在陽明文庫に所蔵される作品、近世まで近衛家に伝来した作品、加えて江戸中期の当主で、博学、多芸多才で知られる家熙(予楽院)が学書の手本にした作品などから、とくに選りすぐりの優品を一堂に集めてご覧いただきます。宮廷貴族による王朝文化から生み出された作品を通して、そのみやびな世界をご堪能ください。
※期間中、作品の展示替えがあります。