このたび山口蓬春記念館では特別展「山口蓬春と鏑木清方(かぶらききよかた)―近代日本画にみる風趣―」を開催いたします。
日本画家・山口蓬春(1893~1971)の初期の画業に、第7回帝展に出品した《三熊野の那智の御山》(大正15年)が特選、帝国美術院賞受賞とともに皇室買い上げとなり華々しい画壇デビューを飾ったことが知られています。この際、審査員として強く蓬春を推薦したのが鏑木清方(1878~1972)でした。蓬春は東京美術学校日本画科在籍中より松岡映丘(1881~1938)の指導のもと日本画家としての道を歩んでいましたが、師の早逝に伴い、映丘と並び文展の中堅作家として活動を共にしていた清方が、映丘に代わって精神的な支持を与えていったと考えられます。蓬春もまた清方を敬慕し、その支援に応えるようにして画家として、そして人間として成長を遂げていきました。
本展では、清方の繊細な筆遣いを伝える絵画作品や下絵、素描、工芸品とあわせ、蓬春のやまと絵研究の跡を偲ぶことができる初期の作品を展示し、二人の交流を軸に、近代の日本画に息づく風趣をご鑑賞いただきます。
※都合により出品作品の展示期間を変更する場合もあります。