中世の神奈川は、和賀江島、金沢六浦津が開かれ交易船が入港し、いち早く中国の文物が輸入された土地でした。
鎌倉幕府の招きで来日した中国の高僧たちによって、鎌倉の寺院には大陸文化がじかに伝えられており、円覚寺の塔頭仏日庵の公物目録からは多くの舶載文物が寺院に収蔵されていた様子がうかがえます。
この展覧会では、中国、宋元時代に制作され、海を越えて日本にもたらされた羅漢図や十王図など、国宝、重要文化財を含む約130点の舶載仏画をご覧いただきます。
舶載仏画は図様、表現ともに多種多様であり、その魅力をあらためてご堪能いただくとともに、異国の文化の受容に努めてきた日本文化のあり方についても考えたいと思います。
なお、本展にあわせ今年3月に修理が完了した当館所蔵の十六羅漢図(重要美術品)全十六幅を公開します。本図は、中国画を元にして日本で描かれた羅漢図です。4年間に及ぶ修理の工程で材質や技法が明らかになり、軸木の銘文も発見されました。通常目に触れる機会のない修理の様子も写真やパネルで紹介します。