日本藝術院会員である高知県宿毛市出身の油彩画家・奥谷博氏の芸術世界をご紹介します。
1934年に生まれた奥谷氏は、1955年、東京藝術大学美術学部油画科に入学。当時の美術界は抽象画全盛の時代であったにもかかわらず具象画の道を突き進みました。1964年、母校の助手となり、壁画研究室担当として1年間ほどフレスコ画制作に取り組んだのを契機に、学生時代から続けていた極端な厚塗りの技法から、一気に薄塗りの表現へと画法を切り換えます。1967年、第1回文部省芸術家在外研修員として渡欧。以後数回の海外での研鑽を経て、強い色彩を対比し、緊密な構成力をもった幻想的な独自の画風を確立します。2007年3月にはパリ・ユネスコ本部で個展「奥谷博―訪ねた世界遺産―」を開催しました。
本展では、人間の生と死を見つめ続け、現在も精力的に制作活動を行っている奥谷氏の作品から油彩画62点、水彩・素描約20点を展示します。