本展では新鮮な感覚を煌かせ現在活躍中の美術家たち、吉川陽一郎、多和圭三、大森博之、石川順惠、青木野枝、坂口寛敏、さかぎしよしおうによる平面・立体作品を展示します。
現代の美術が、21世紀に入り、新たな指標を模索しつつ、ひとつの転換期を迎えているかに思える今日、わたしたちにとって最も身近なところで生起している日本の現代美術を、改めてじっくりと見つめなおしてみたい……「プライマリー・フィールド」展は、そんな想いを端緒に組み立てられた展覧会です。1990年頃から制作された作品に新作を交えて展覧いたします。
展覧会タイトルの「プライマリー・フィールド」とは、「原初的な場」あるいは「基本的な場所」といった意味です。本展の出品作品や作家の特徴には、「シンプルな作品の構造」、「素材の特性を生かす」、「光や空気とった場の要素を生かす」、「身体や行為と空間の関わりの重視」、あるいは「恬淡とした制作態度」といったことなどが挙げられるでしょう。それらはすべてわたしたちが「生きる」ということに関わる基本的なことであり、それらが交差し合い、静謐でありながらも根源的な力強さを語りかけてくる場となることを企図して展覧会は企画されました。
7名の現代美術家による本展は、言うなれば連続した7つの個展を訪れて、それぞれの来館者の方が、自らの目で作品や空間から、立ち上り、響き合う何かを発見し、新たな課題の所在を感じとってくださる場であればと心から願っております。