三上浩は1931年福岡県行橋市に生まれました。美術教師をしながら公募展に出品し、早くからその将来を嘱望されていました。1954年1月、画壇で活躍していた大内田茂士の勧めもあって上京します。
優れた描写力と対象にじっくり取り組む力強い作風で、「日展・特選」「日展・文部大臣賞」等数々の受賞を果たします。高い評価を得て、日展審査員、日展評議員、示現会常務理事を務め活躍します。
2001年に倒れ利き手であった右手が麻痺しますが、絵筆を左手に持ち替えて並はずれた努力と精神力で制作を続けました。
三上浩の作品は、林や渓流をモチーフにすることが多く、樹叢や岩に刻み込まれた長い年月を感じさせる独特の迫力ある画風は生涯一貫したものでした。
今回の展覧会は、2006年に絶筆となった「飛泉」を含む晩年の作品を中心に、三上浩の初期から晩年に至るまでのその作品の変遷を一望しようとするものです。油彩作品約50点、素描10点により、大地と風をダイナミックに描き続けた三上浩の世界に迫ります。