10世紀以降東国では「兵(つわもの)」が登場し、各地で勢力を伸ばしながら武士団を形成して大きく成長しました。
そのような中、平安時代末期から鎌倉時代初期にかけて活躍した武蔵武士の一人に、稲毛三郎重成がいます。重成は、秩父氏の流れをくむ小山田有重のもとでは頼朝の御家人として平家追討や奥州征伐で活躍した様子が、『吾妻鏡』などの資料にみられます。さて現在も重成の館跡といわれる多摩区広福寺は、伝重成の墓があります。このように稲毛三郎重成は、古代末から中世にかけて川崎の歴史において欠かすことのできない人物といえます。しかしこれまで、重成を中心とした展覧会は開催されておらず、また市民ミュージアムの常設展示でも欠如しています。そこで本展であらためて彼の事績と、彼の生きた時代―つわものの社会―を広く紹介したいと考えています。
なお本展は、神奈川県立金沢文庫と横浜市歴史博物館と3館で連携協力して開催されるものです。
<主な展示資料>
赤絲威鎧残闕 福島・馬場都々古別神社所蔵 国重文
長覆輪太刀 福島・馬場都々古別神社所蔵 国重文
十六間四方白星兜鉢 愛知・鵜森神社所蔵 国重文
源頼朝袖判下文 神奈川県立歴史博物館所蔵 県重文
後白河院庁下文 大谷大学博物館所蔵
永福寺経塚出土資料 鎌倉市教育委員会所蔵 県重文
平澤寺経塚出土経筒 埼玉・平澤寺所蔵 県重文
柳之御所跡出土資料 平泉町教育委員会所蔵
北条氏邸跡出土資料 伊豆の国市教育委員会所蔵
伝源頼朝像 神奈川県立金沢文庫像
一の谷合戦図屏風 馬の博物館所蔵
六波羅合戦絵巻断簡 個人蔵
小桜威大鎧(模造) 個人蔵
木造稲毛重成像 広福寺蔵