開館10周年を記念して「大倉集古館の名宝」展を開催します。
日本初の私立美術館として,実業家大倉喜八郎により大正6年に設立された大倉集古館は,国宝・重要文化財を含む数多い日本・東洋の古美術品に加え,子息の喜七郎によって昭和5年にイタリアで開催された当時を代表する日本画家による「ローマ開催日本美術展」の出品作を中心とした近代日本画の優品を揃えた美術館として広くその名が知られています。
本展は,同コレクションの中から,第1部「ローマ開催日本美術展の名画」として,月の輝く春の夜,かがり火に照らされて豪華にうつし出される満開の桜を描いた横山大観の傑作「夜桜」をはじめ,前田青邨の「洞窟の頼朝」など,昭和初期の日本画家が描いた名作26点を紹介し,第2部「中世・近世絵画の輝き」では,鎌倉時代の似絵(にせえ)の一級品であり,天皇を警護する武人の騎馬姿を雄壮に描いた国宝「随身庭騎絵巻」(ずいじんていきえまき)を筆頭に,「石清水八幡曼陀羅図」(いわしみずはちまんまんだらず),久隅守景の「賀茂競馬・宇治茶摘図」(かもくらべうま・うじちゃつみず)という2点の重要文化財を含めた中世・近世の名画36点を紹介します。私たちになじみ深い近代日本画の名品と同時に,その近代美術の源泉となった伝統的日本古美術の名宝の数々をご堪能ください。
<主な作品>
第1部 ローマ開催日本美術展の名画
横山大観《夜桜》《瀟湘八景》,前田青邨《洞窟の頼朝》,下村観山《不動尊》,竹内栖鳳《蹴合(けあい)》,鏑木清方《七夕》,川合玉堂《奔潭(ほんたん)》,山口蓬春《木瓜(ぼけ)》,宇田荻邨《淀の水車》他
第2部 中世・近世絵画の輝き
中世:《随身庭騎(ずいじんていき)絵巻》【国宝】,《石清水八幡曼荼羅(いわしみずはちまんまんだら)図》(重要文化財),《仏涅槃(ぶつねはん)図》,《春日鹿曼荼羅》他
近世:前嶋宗祐(まえじまそうゆう)作《鶏頭小禽図》,伝土佐光信作《桜に杉図》,曾我二直庵(そがにちょくあん)《蜆子和尚(けんすおしょう)・龍虎図》,久隅守景(くすみもりかげ)作《賀茂競馬(かもくらべうま)・宇治茶摘(うじちゃつみ)図》【重要文化財】,円山応挙作《雁図》他