近代以降、都市・川崎の発展には工業が大きな役割を担ってきました。京浜工業地帯の中核としてめざましく発展する川崎の姿は、日本の近代発展そのものであったといえるでしょう。しかしながら工業の発展、経済の成長は必ずしも輝かしいものばかりだけではなく、一方で公害問題など、私たちの生活や社会に大きな不安や打撃を与えました。そして現在、それをも克服し産業構造の改革を含めた、新たな発展段階へ進もうとしています。
明治41年(1908)に横浜精糖が川崎で工場を稼動させ、東京電気株式会社や鶴見埋立組合が川崎に進出して100年を迎えます。そこで本展では、この間の100年の川崎のあゆみを、川崎の産業の発展を支えた企業と、川崎に暮らす人々にも焦点をあて、併せて今扱われている先端技術を紹介してまいります。多くの市民の方に近代以降の川崎の姿を通して、これからの川崎のありかたを考えてもらう展覧会です。
また、岡本太郎の見た川崎の象徴的な作品である「重工業」(1949)や、現代写真家(王子直紀、原英八、原美樹子)が切り取った川崎の風景を、9月30日(日)まで企画展示室2で公開します。
主な展示資料
御幸煉瓦製造所製の煉瓦 市民ミュージアム蔵
「京浜間電車全通」看板 市民ミュージアム蔵
「南部鉄道図絵」 市民ミュージアム蔵
東京電気株式会社製ラジオ 東芝科学館蔵
明治製菓株式会社ストレイプマイシン 明治製菓株式会社蔵
「味の素」看板(複製) 市民ミュージアム蔵
コロムビアレコード 市民ミュージアム蔵
「東京湾埋立株式会社事業案内」 増山侊一氏蔵
「京浜電鉄川崎鶴見住宅地図」 市民ミュージアム蔵
岡本太郎「重工業」 川崎市岡本太郎美術館蔵(9月30日まで)
王子直紀、原英八、原美樹子「川崎の風景」(9月30日まで)