現代の彫刻は多種多様な表現方法を見せていますが、その発展の歴史は、ロダンの登場による近代彫刻の萌芽にまで遡ることができます。
19世紀末から20世紀初頭にかけて活躍した“近代彫刻の父”オーギュスト・ロダンは、人間の持つ生命と内面的様相を彫刻の中に劇的に現すことで、様式美的な表現が主流であった彫刻の世界に大きな変革をもたらし、その後の飛躍的な展開の礎となりました。ロダンに続いたアントワーヌ・ブールデルやアリスティード・マイヨール、シャルル・デスピオらは、ロダンに倣いつつ古典彫刻などにも学びながら人体表現の可能性を拡げ、さらに、オシップ・ザッキンやジャック・リプシッツらによって、彫刻芸術は抽象化も含めた一層多彩な表現を獲得していきます。
今では巨匠と称されるこれらの彫刻家たちの造形的な探求と試みは、急速な彫刻の近代化を促して現在へと至る彫刻の歩みを創り上げ、現代の彫刻にも多大な影響を及ぼしています。
本展では、札幌芸術の森美術館所蔵の作品などにより、この100余年におけるヨーロッパの巨匠たちの造形と、それらが日本にもたらした影響について紹介します。
出品作品:彫刻作品15点