抽象性を持った対象と、それを写真に写すことで見えてくるもの、気づかされることにずっと関心を抱いています。2001年より続けている、水面の上に輝く太陽の写真の新作となります。 輝きは揺らめき、歪み、散っています。そこにその輝きを私に示してくれる水面があり、それは揺らいでいること。輝きは太陽が映っているものであること。このことを、私が水面と太陽を言葉で知る前から気づいています。これら自身が示していたからです。 水面に映る太陽を見ていると、実は他の様々な対象にも太陽は写っているのだと気づきます。そして太陽を見ていることに気づかないことが、対象をその対象に見せていることを。 揺らぐ水面が、私が見ることができるのは対象のもつ面であることを気づかせてくれます。定まらず、繰り返さない水面のように、揺らぎ続ける面を見ていることを。 水面と太陽が見せてくれる輝きの一瞬、その一瞬が見ることについてのいくつかの本質を美しく示唆してくれていると思います。