「萩焼」の重要無形文化財保持者(人間国宝)で、97歳のいまも現役の陶芸家として活躍している三輪壽雪(1910年生まれ)の80年に及ぶ作陶生活の集大成として、初期作から最新作までが一堂に会する初めての回顧展を開催します。
山口県萩の伝統ある陶家、三輪窯に生まれた壽雪は、兄・十代三輪休雪(後の休和)に作陶を学び、長い修業の後に45歳から「休」と号して出品活動を始めました。1967年に「十一代休雪」を襲名し、1983年には兄に続き人間国宝に認定されて、名実ともに日本を代表する陶芸家の一人となります。そして2003年、「休雪」号を長男に譲り、自らは「壽雪」と号してさらなる一歩を踏み出しています。
本展覧会では、長い作陶活動を作風や陶技の大きな転機となった四つの時代に分けて、時代ごとに浮かび上がる作風や意識の変化を、茶碗を中心に、独自性に富んだ水指や花入、初公開となる置物など、壽雪が生み出した49点の作品でたどります。
萩焼400年の伝統を継承しながらも古典の真似に終わることなく、茶陶という分野に独創性あふれる豪快な作風で新たな境地を切り開いた壽雪の創造の全貌に迫ります。