古今東西、画家と旅とは深い関わりがあります。画家たちは、作品の新たなモティーフを求め、またはもっと別の何かを探すため、しばしば日常を離れて見知らぬ土地へ旅に出ます。
明治以来、洋画家は西洋絵画の本場へ憧憬を胸にフランスやイタリアなどに留学して熱心に学び、一方日本画家も中国やインドなどへ取材に赴くなどし、外国で見聞きする貴重な体験を制作の滋養としてきました。
戦後、海外渡航が容易かつ一般的になると、さらに多くの画家が様々な国や地域へ足を運ぶようになりました。そして、旅の内容が多彩になるにつれ、異国に題材を求めた作品世界も豊かな広がりを見せていきます。
本展覧会は、安井曾太郎《フランス風景》、中西利雄《ノートルダム寺院》、高橋秀年《清夜》など、画家と旅との多様な関わりの中から生み出された日本画、油彩画、水彩画併せて30点を紹介します。