本企画展は、原田泰治さんと交流のある星野富弘さんの作品を展示します。共に障害をもちながらそのハンディを乗り越え、画家として活躍されているお二人の交流展は、美術館にとって長年の夢でした。富弘さんは、日々の生活の中に輝く生命の美しさと強さを、口にくわえた筆で繊細な絵と詩文によって表現する、詩画作家です。描かれた風景や草花は、やさしいまなざしと感動にみちています。深い絶望、悲しみを乗り越えた人だからこそ感じることができる、生命の尊さと輝き。そして渡良瀬川の清らかな流れと四季折々に変化する山々に囲まれた生活の中で育まれた感性とあいまって、その作品は人々の心の故郷となっています。
原田さんも、長野県伊賀良村(現飯田市)の田舎で過ごした幼少時代の体験が、原点となっています。日本に残された昔ながらの風景、つつましく生きる人々の生活を愛してやまない原田さんの作品もまた、見る人の心に故郷として映ります。
今回は、富弘さんの初期から現在に至るまでの「いのち」をテーマとした25作品をご覧いただきます。苦悩から希望へ、はるかなる生命の詩をつづる富弘さんの世界を、どうぞお楽しみください。