うっとうしい梅雨が明けると、暑い夏がやってきます。『徒然草』にも、「家の作りやうは、夏をむねとすべし」とあり、冬の寒さはいかようにもしのげるが、夏を乗り切るには家の作りから考えなければならない、としています。夏の暑さを厭う気持ちは今も昔も変わらないようです。今回の収蔵品展では、そのような夏の暑さをしばし忘れさせてくれる涼やかな作品、夏をテーマとした作品を中心に展示します。鈴木其一《干瓢干し図》は、夏の風物を描いた、夏にぴったりの作品ですし、横山大観《群青富士図》はすがすがしい初夏の富士を描いた作品です。夏という季節を楽しみながら、同時に個々の作品の魅力を感じ取っていただければ幸いです。夏のひと時を美術館で過ごしてみてはいかがですか?