夏の企画展「樹と竹―列島の文化、北から南から―」は、当館と鹿児島県歴史資料センター黎明館との共同企画で開催します。
東北は寒冷・雪、九州は温暖・雨というイメージがあり、北国と南国という対照的な風土にあります。この風土に育まれた植生は、東北の落葉広葉樹林と九州の照葉樹林という植生環境にあり、北のブナ林・南の竹林という景観が見られます。
今回の企画展では、北のブナ林と南の竹林という植生をテーマにして、これらの植生で人々はどのように生活をしてきたか、その文化を考えます。日本列島の文化を、北は福島から東北・北海道、樺太からアムール川流域などの東北アジアまでに目を向けます。南は鹿児島から奄美諸島・沖縄、東シナ海を経てラオス・フィリピンなど東南アジアまで広く目を向けます。日本海と東・南シナ海をふくめ、「東アジア内海世界」という枠組みで、日本列島の文化をみます。
主な展示資料は、樹と竹の民具(生活用具)を取り上げ、北と南とを比較しながら紹介します。穀物を選別する箕は、東アジア地域で広範囲に使用され、その形や材質もそれぞれ地域差があります。その特色として、北の樹皮・南の竹です。また、魚を捕獲する筌は、北と南に通じる形態・製作方法があります。北は竹の自生が少ないため、容器は樹皮製や刳物が多く、南は竹製が極めて多いのが特色です。
樹と竹の民具を紹介しながら、日本列島の文化を「北から南から」という視点で考えます。