兵庫陶芸美術館の開館記念特別展の第3弾は「陶芸の現在、そして未来へ」です。
陶芸が個人の表現としての芸術分野の一つと認識されるようになってから、一世紀あまりが過ぎようとしています。この間、多くの作家たちは、社会や美術の動向と連動しながら、一方では伝統的な技法を発展させることで新たな表現を生み出し、また一方では陶磁器に固有の素材や制作過程に注目することで、表現の幅を広げてきました。
21世紀に入り、現代の陶芸のありようは、「土を素材とした現代造形の一つとして、陶芸がいかにしてその固有の意味と構造を持つことができるのか」という本質的な問いかけをあらためて必要としているように見えます。陶芸は、あらゆるジャンルの壁を越えてもなお、現代美術の範疇では捉えきれない特殊性を持ち、また多くの作家がそのことを認識しているのです。
本展では、「土」を造形素材として選び、陶芸の新たな可能性を追求し続けている作家たちの中から、近年、特に活躍の目覚しい5人の作家に出品を依頼し、新作を中心に展示することで、未来につながる新たな陶芸のあり方を探ります。
出品作家は、板橋廣美(いたばしひろみ)、内田鋼一(うちだこういち)、小松 純(こまつじゅん)、戸田守宣(とだもりのぶ)、三輪和彦(みわかずひこ)の5人。いずれも自由な造形によって「土」という素材のもつあらゆる表情を引き出し、その創造の幅広さをダイナミックに表現している作家たちです。本展では、一人の作家がそれぞれ展示室一室すべての空間を使って展示をします。