20世紀初頭以来、美術が抽象的な志向を強める中で、具象的な彫刻表現は影をひそめながらも、欧米の多くの陶芸作家たちの中でテーマとされてきた「人」。
人物彫像の歴史を持つヨーロッパでは、ベルギーのカルメン・ディオニスやドイツのゲルトラウト・メーヴァルトなど代表作家らによる、独特の陶芸表現による人物作品が見られます。
またアメリカでは、ファンク・アートで知られるロバート・アーネソンを中心とするベイ・エリア・フィギュラティブの流れや、自由奔放な表現の中で「人」をとらえた作家たちの作品が、陶芸の幅広さを感じさせています。
さらにアジアでは、特有の精神世界を表現する日本、韓国、台湾などの作家が名を連ねています。本展では「人」をキーワードに11ヶ国26作家による、まさに世界の陶芸シーンを紹介します。
これは、国内、海外の作家たちの「人」をテーマにした作品を通して、つくり手たちが生み出す多彩なイメージの実像をたどる、日本で初めての展覧会となります。
私たちに語りかけてくる作品たちの眼差しは、やきものとの新しい出会いの形を気づかせてくれることでしょう。