1974年3月陝西省臨潼県(現在は臨潼区)西楊村の村民が、秦始皇の陵墓から1.5㎞の地点で井戸を掘っていたときに、地中の中から実物大の陶俑(陶による人形)を発見しました。調査の結果、その数は8,000体以上にも及び、その膨大な数と圧倒的なスケールに人々は驚嘆を禁じ得ませんでした。中国では秦始皇兵馬俑博物館の夏寅、王偉鋒の両氏をして、万里の長城やローマのコロッセオ(円形劇場)、ピサの斜塔、アレクサンドリアのカタコンベ(地下墓地)に並ぶ、世界8番目の大奇跡と評されています。
『史記』は前漢の司馬遷が著した130巻にも及ぶ中国最古の通史です。本展では『史記』の歴史観を背景に、春秋・戦国時代から前漢・武帝時代までの約700年間に及ぶ、各時代を代表する彫塑、装飾品、武具など、厳選された120件を紹介します。出品作品の多くは日本初公開で、中でも全身に紀元前3世紀当時の彩色が残る兵馬俑、跪射俑は中国でもわずかしか存在していない貴重な遺物であることから、中国国内でも常設展示はされていません。まさに本展での紹介が世界初公開となります。始皇帝から武帝の時代へ、壮大なる中国の歴史と驚異の地下帝国の一端に触れる貴重な機会となることでしょう。
●世界初公開・彩色兵馬俑
出品作品の多くは日本初公開ですが、特に、1999年に兵馬俑坑2号坑から発見された、全身に紀元前3世紀当時の彩色が残る兵馬俑、跪射俑は、中国でもわずかしか存在しない、世界的にも貴重な遺物です。それまでに発見された兵馬俑からは、2,000年を越える長い年月のため色彩が失われていました。本展では、中国国内でも常設展示されていない彩色兵馬俑を、世界で初めて観ることができます。
●巨大なバーチャルリアリティシアターによる映像展示
会場では世界初の試みとして、彩色兵馬俑をコンピューター・グラフィックで再現し、いままで誰も目にしたことのない兵馬俑の姿を、圧倒的なスケールで体感することができます。本展では、現地の迫力をそのままを感じることができる、巨大なバーチャルリアリティシアターを使 用して、世界初となる地下宮殿内の当時の鮮やかな彩色兵馬俑軍団の姿を再現します。 現地では不可能な距離や角度から眺めることで、観ている人々を中国古代の歴史の旅へと誘います。