わが国の美術蒐集の歴史は、先進文化として
の憧憬に加え、茶の湯という一つの世界観を加
味して形成された。そこへ欧米風の美術品鑑賞
方法として、中国陶磁器を純粋に鑑賞の対象と
して賞翫する見方が大正中期頃から始まり、昭
和初期には「鑑賞陶器」という言葉が生まれる。
本展では、この鑑賞陶器蒐集の過程で形成さ
れた中国陶磁コレクションの中から、「コレク
ターズ・アイ」という一側面を通して、中国陶
磁の奥深さ、美質を堪能し、さらにそれを可能
とした日本人の高い美意識、いうなれば美を鑑
るこころを感じ取っていただければ幸いです。