三浦景生は1916(大正5)年京都に生まれました。丸紅株式会社意匠部の戦後再建に参加して染色工芸への興味を深めた三浦は、染色家小合友之助に師事し、染色の制作に専念しました。1947年の京展、日展への出品が初めての作品発表ですが、三浦は最初から前衛的な手法でパネルや屏風に仕立てて発表し、染色の既成概念を打ち破りました。
以来、日展をはじめ、あまたの展覧会で受賞を重ねながら、60年にわたって制作ひとすじに励んできましたが、1984(昭和59)年以降は、染色で培われた造形感覚をもとに、陶磁の技法をも自家薬籠中の物として、独自の繊細な色遣い、幻想的な作風で旺盛な制作活動を展開しています。
また京都市立芸術大学で後進の指導にあたり、当時学長であった梅原猛、陶芸の教授であった藤平伸とも深い親交を結び、1995(平成7)年、書、陶、染色の3人展を開催するまでに至りました。
今回は初期の作品から最新作までを一堂に展示し、三浦景生の染色と陶の世界を展望します。