現代陶芸に自由で洒脱な独自の境地を拓いた藤平伸(1922~)は製陶業を営む家庭に生まれ育ちました。京都高等工芸高校窯業科へ進みますが病気で途中退学、療養中は絵を描いて過ごします。30歳で本格的に陶芸制作を始め、京都陶芸家クラブに入会し清水六兵衛に師事。初期には絵画性の強いレリーフ状の作品を手がけました。その後器物の表面を彫ったり刻印することで迫力のある硬質の線を手に入れ、塗ったり描いたりする通常の上絵とは違った新しい加飾の表現を獲得します。日展を中心に活動、1973年には京都市立芸術大学教授に就任し、後進の指導にあたります。現在は名誉教授。
本展では、「鳥の壷」と名づけられた初期作品、宙に浮くように足のつけられた軽やかな形態のオブジェ、表面に小さな突起物が付けれた作品など、独自のエスプリと幻想的な詩情をたたえた藤平の世界をご紹介します。
出品数:10点