今から28年前、日本画家・石本正は「私は一生、無限に変化する女体を追いかけ追いかけしながら、描いていくのだと思う」(『芸術新潮』1987年5月号)と記しましたが、86歳になった現在もその姿勢はいささかも変わっていません。女性美の探求は石本の制作における重要なテーマとなっています。彼は、女の哀しみや歓びに迫る作品を描きつづけてきました。
今回の展覧会では、画家としてのスタートとなった「三人の少女」(1947年)の素描やピカソの青の時代に触発されて描いた創造美術初出品作「踊子」(1950年)などの初期の作品から、最新作まで、各時代を代表する作品を通して、画業の全貌を振り返りたいと思います。