出光美術館は、出光興産創始者の出光佐三氏(1885~1981)が蒐集した膨大なコレクションをその核とし、東洋と日本の美術では国内外屈指の規模を誇っています。今回の展覧会は、その中から17、18世紀に日本、中国、ヨーロッパで生産された磁器を紹介し、陶磁の東西交流をたどります。
東洋と西洋を結ぶ道のうち、絹の道・シルクロードが陸の道であるのに対し、陶磁の道は海運貿易による海の道が主流でした。中国の景徳鎮などで生産された陶磁器はヨーロッパで珍重されましたが、17世紀前半、明から清への移行による政情不安や貿易を制限する海禁政策などにより輸出は減少、その代わりとなったのが日本の磁器でした。当時、日本では有田(佐賀県)で磁器の生産が始まり、やがて赤絵や金襴手といった技法も生み出され、これらはオランダ東インド会社によって長崎から輸出されました。一方ヨーロッパでも自国での磁器生産を目指して各地で開発が続き、18世紀初頭にドイツのマイセン、続いてオランダやフランス、イギリスなど各国で磁器の生産が始まりました。その意匠は中国や日本の文様を模倣したものから、その国独自のものなど様々です。
17世紀から18世紀、東洋と西洋は陶磁の道を通じて活発な交流が行われ、華やかに展開しました。その精華ともいえる美しい陶磁器の数々をご覧下さい。