東京国立博物館が所蔵する博物図譜の多くは、明治初期に博物局の田中芳男(たなかよしお)を中心とする天産部が、収集あるいは作成・編集したものです。江戸時代の図譜に、博物局の画家たちの図を加えて、『博物館図譜』などを編集しました。その研究成果は、出版されて、西洋の学問の普及に役立っています。その後、博物館が歴史・美術博物館への道を歩みはじめたことで、天産部の資料はその新たな行き先を探し求めることになり、博物図譜などは帝室博物館の歴史部に引継がれました。
今回は、堀田正敦(ほったまさあつ)、木村蒹葭堂(きむらけんかどう)などの編者や、高橋由一(たかはしゆいち)、関根雲停(せきねうんてい)、服部雪斎(はっとりせっさい)などの画家にスポットをあてます。ものの真の姿をとらえようとして描かれた動植物などは、実に生き生きとしています。また、田中芳男が収集し、博物館に寄贈した蝙蝠(こうもり)の玩具などもご覧いただきます。
主な出品作品
青花魚藻文壺 景徳鎮窯 元時代・14世紀(重要文化財)
鳥類図譜 江戸時代 ・19世紀
博物館獣譜 博物局編 明治時代・19世紀
博物館列品図録 動物部 第一 田中芳男選、最上幸吉筆 明治10年(1877)