屏風の展示といっても、普段の博物館の展示では、描かれた絵や書の鑑賞が中心です。しかし、屏風は単なる画面形式の一つではなく、本来、空間を仕切って特定の場を作り出す機能を持った調度品であり、その使用の目的に合わせて絵や書が表されます。今回の特集陳列「屏風」は、そうした屏風自体の形式や機能、歴史の変遷という意識をもって、屏風を全体として楽しんでいただこうとするいわば屏風入門とでもいえる展示です。
一枚一枚のパネルをあしぎぬでつなげた形式から紙の蝶番(ちょうつがい)による形式へという構造の変化、それにともなう一枚一枚独立した画面から連続画面へという画面形式の変化、大・中・小あるいは六曲・八曲・二曲という規模の違い、あるいは機能や素材のなど様々な観点から選んだ作品を展示いたします。変化に富んだ屏風の世界の一端を楽しんでいただけたら幸いです。
主な出品作品
重要文化財 波涛図屏風 円山応挙筆
江戸時代・天明8年(1788)京都・金剛寺蔵