大阪、西宮、和歌山の3都市で同時に開催される藤本由紀夫の展覧会。
和歌山では「関係」をテーマに、二部構成の展示を行います。
藤本由紀夫(1950年名古屋市生まれ)は、聴くことや見ること自体を問い直す作品を制作しています。大学で音楽工学を学び、1970年代には実験的な電子音響の制作を行った後、オルゴールなど音の出る装置を用いた作品へと活動を移し、パフォーマンスや展覧会での発表を続けています。西宮市大谷記念美術館では、1年に1回、1日だけの展覧会を10年にわたって行うという「美術館の遠足」を1997年から2006年まで開催。その間、2001年にはヴェネチア・ビエンナーレ展の日本代表となり、また今年は同展国際企画部門に選ばれるなど、国際的にも高い評価を得ています。当館でも1996年に開催した「ひかる・うごく・おとがする」展ならびに翌年の「ものとあらわれ」展で紹介しました。それから10年を経て、この藤本の展覧会を、大阪(国立国際美術館)、西宮(西宮市大谷記念美術館)、和歌山(当館)の3都市で同時に開催します。題して「藤本由紀夫 - 聴覚の遠足 2007」。和歌山では「関係」をテーマとし、二部構成で展示を行います。
まず「FUJIMOTO and」では、藤本が他の作家と行ってきたコラボレーションによる作品や、文学作品などに触発されて制作した作品を紹介するとともに、藤本の目を通して当館コレクションを新鮮な角度から見直す展示を行います。藤本の「共同制作者」は、Normal Brain、永原康史、森村泰昌、マルセル・デュシャン、イチハラヒロコ、長岡綾子、稲垣足穂、東洲斎写楽、、、といった面々。
また「ハッピー・コンセプチュアル」では、自分自身の生活に深く根ざした主題によるカラフルな絵画の制作を続けている画家・杉山知子と藤本が、展示によるコラボレーションを行います。一見異質な二人の作品を、「each - all」「time」「here & there」などのテーマにもとづいて組み合わせることで、作品の背景に共通するコンセプトが共鳴しあう展示を試みます。