現実とはいったい何なのか?この謎に正面から向き合ったのがシュルレアリスム運動です。第一次世界大戦で荒廃したヨーロッパにおいて、理性中心主義の社会に疑問を感じたシュルレアリストたちは、眼前の現実だけにとらわれず、その向こうに横たわる「真の現実」を描きだそうとしました。マックス・エルンストは自動記述(オートマティスム)という手法によって、無意識のうちに顕れるイメージから作品を生み出しました。サルバドール・ダリやルネ・マグリットは、現実にはありえない、意外な物と物とを隣り合わせて描くことで、観る物に驚きを与えました。それはやがて文学、美術、映像を包括し、広範囲の文化に影響を与える20世紀最大の芸術運動になります。戦前、戦後を通じて世界中で数多くのシュルレアリストが誕生しましたが、彼らは理性に制御されることのない自由な精神によって、それぞれの「現実」を表現しようとしたのです。
本展では国内美術館の所蔵品を中心に、ダリ、マグリット、ミロといったシュルレアリスム芸術の秀品、約130点を紹介します。
出品作家(アルファベット順)
ジャン・アルプ ハンス・ベルメール ヴィクトル・ブローネル アンドレ・ブルトン
レオノーラ・キャリントン サルバドール・ダリ ジョルジオ・デ・キリコ
ポール・デルヴォー オスカル・ドミンゲス マルセル・デュシャン
マックス・エルンスト レオノール・フィニ アルベルト・ジャコメッティ
パウル・クレー ヴィフレド・ラム ルネ・マグリット マン・レイ アンドレ・マッソン
ロベルト・マッタ ジョアン・ミロメレット・オッペンハイム フランシス・ピカビア
パブロ・ピカソ ピエール・ロワ ケイ・セイジ クルト・セリグマン イヴ・ダンギー
ドロテア・ダニング ラウル・ユバック