いわさきちひろは、画家としての鋭い感性と子どもを愛おしむ母親のまなざしを融合させ、人間的な優しさを繊細な色彩の中に描きつづけた日本を代表する絵本画家です。1950年代半ばから74年に没するまで、独自の絵本制作に情熱を傾け、40冊余りの絵本を発表しました。『あめのひのおるすばん』『おふろでちゃぷちゃぷ』『ことりのくるひ』など数多くの作品が、親から子へと現在も読み継がれています。
1977年に開館したちひろ美術館は、いわさきちひろの業績の顕彰に加え、絵本文化の発展に寄与するために国内外作家の絵本原画をコレクションしています。
本展は、同美術館所蔵のいわさきちひろと、山形市出身でアストリッド・リンドグレーン記念文学賞を受賞した荒井良二など、個性豊かな14人の絵本画家の原画あわせて180余点を展示し、戦後日本の絵本のありかたを探るとともに、親子のふれあいの場となることをめざしています。